JALも「裏紙」で内部文書流出か　パイロットのパスポート番号、生年月日まで…

帝京平成大（本部・東京）で学生の就職相談記録をカウンセラーが自宅に持ち帰り裏紙に利用されて外部流出した問題で、「日本航空の内部文書も流出して裏紙に使われている」と、本紙「ニュースあなた発」に新たな情報が寄せられた。

日航は21日、本紙の取材に「（書式などから）本物のように見える」とし、「現在、流出の疑いがあるとみて調査中」と答えた。（谷岡聖史、福岡範行、三輪喜人）
◆帝京平成大と「あまりに酷似」
情報を寄せたのは、日航の関連会社社員を名乗る人物。帝京平成大の本紙報道を見て、「あまりに酷似している」と連絡してきた。
この人物から提供された画像や動画を確認すると、日航の内部文書とみられる書類の裏面にも、帝京平成大のケースと同様、英文が印刷されていた。どちらの英文も同じ団体が主催する英語検定の問題集だった。いずれも英文に赤字で加筆があり、筆跡も似ている
帝京平成大の就職相談記録は、カウンセラーの家族が裏面に英語教材を印刷し、家庭教師に提供していた。日航から流出したとみられる文書も英語教材として使われた可能性がある。
◆社印入りの文書も
今回新たに提供された画像や動画からは、少なくとも3種類の書類が確認できた。国際線のパイロットとみられる名簿には、氏名、生年月日、パスポート番号といった個人情報が記され、「日本航空株式会社」の社印が押されていた。
複数の日航の元パイロットによると、提供された文書は、国際線で出入国の際、入管や税関に提出する公的な書類のほか、パイロットが飛行記録を確認するため会社から配布される「フライトレコード」だという。元パイロットは「安全に関わる機密情報とまでは言えないが、情報管理上、非常に問題だ」と指摘した。
◆「外部に流出、あり得ない」元パイロット、現役CAが提供文書を読み解く
学生の就職相談記録に続き、日本航空の内部資料も外部に流出し、裏紙に使われていた可能性が浮上した。日航は「流出の疑いがあり、調査中」としているが、書類には鶴のマークの社印も押されていた。元パイロットは一目見るなり「日航の内部文書に間違いない」と断言した上で「流出が事実なら日航の情報の管理責任は免れない」と指摘する。
日航の関連会社社員と名乗る人物から提供された複数の文書のうち、元パイロットたちが驚いたのは、出入国や税関の手続きに使う「公的な文書」が含まれていたことだ。
その一つ「List of Entry」という書き出しの表題が付いた書類には、「JAL」の記載とともに、4人の氏名や生年月日、パスポート番号など個人情報が記されていた。日付は2022年3月12日、「PEK／HND」とある。
◆「余ったら必ず処分」が行動規範
元パイロットは「これは北京から羽田へのフライトで、中国の入国管理局に提出するための書類だ」と解説。記載の4人は、この便に乗務したパイロットを指すという。「外務省のフォーマットを使って会社が作成した公的な文書で、その証拠に日航のハンコもある」と語る。
では、なぜ相手国に提出するはずの書類が残っているのか。元パイロットは「入管提出の書類は緊急着陸などのときに備えて予備を作成しているためだ」と可能性を示す。ただし、「余った書類はフライトが終われば、必ず機内や社内で処分することになっている。外部に流出するなんて考えられない」と驚く。
元パイロットによると、必要書類を持参して通関手続きを担うのは、客室乗務員の責任者だという。現役の日航の客室乗務員も「実際に国際線で通関手続きに使っている書式と同じ」とし、「乗員が当然守るべき行動規範であるクルーマインドとして、余った書類は適切に処分している」と明かす。
◆「悪用のリスク」指摘も
日航の元機長だった航空評論家の杉江弘氏は、提供文書の中にあった「MONTHLY FLIGHT TIME RECORD」と書かれた書類について、「自分の現役時代の書式と一致する」と証言した。この書類は、各パイロットの月間の飛行記録だ。
「パスポート番号が流出すれば、悪用されるリスクもある。日航は個人情報が外に流出しないよう管理する責任がある」と話す。

東京新聞　2023年8月22日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/271682

JALも「裏紙」で内部文書流出か　パイロットのパスポート番号、生年月日まで…＜ニュースあなた発＞：東京新聞 TOKYO Web

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