「骨を折ってやれ」と指示する場面を目撃…狛江の強盗事件、男女4人を再逮捕

東京都足立区で1月に計画された強盗をフィリピンの入管施設から指示するなどしたとして、警視庁捜査1課は22日、強盗予備などの疑いで、フィリピンから移送されたニセ電話詐欺グループのリーダー格、渡辺優樹被告（39）＝窃盗罪で起訴＝ら男女4人を再逮捕した。渡辺容疑者が強盗事件で立件されたのは初めて。警視庁は一連の広域強盗の全容解明を目指す。
◆渡辺優樹容疑者、強盗事件で初めての立件
他に再逮捕されたのは、詐欺グループ幹部の今村磨人きよと（39）、藤田聖也としや（39）の両被告と、かけ子だった山田李沙被告（27）＝いずれも窃盗罪で起訴。
藤田容疑者が強盗事件で逮捕されたのも初めて。今村容疑者は京都市と千葉県大網白里市の強盗を指示した罪でも起訴されている。山田容疑者は資産状況を聞き出す「アポ電」を被害者宅にかける担当という。

再逮捕容疑では、実行役の男4人と共謀して1月20日、足立区の80代男性方から金品を奪おうと計画し、窓ガラスをバールで割って侵入したなどとされる。住人は不在だったため無事で被害品もなかった。認否は明らかにしていない。
捜査1課によると、実行役らへの事情聴取や証拠品の解析から、渡辺、藤田両容疑者が関与したと判断。今村容疑者は通信アプリ「テレグラム」で「ミツハシ」を名乗り、実行役に犯行を指示していた。
事件前日の1月19日には東京都狛江市の住宅で住人の大塩衣与きぬよさん＝当時（90）＝が死亡する強盗致死事件が発生。狛江の事件で起訴された実行役4人のうち3人は、足立の事件の実行役としても起訴されており、警視庁は渡辺容疑者らが指示した疑いがあるとみている。
◆VIPルームで目撃…ネットニュースに動揺
東京都狛江市の住宅で住人の大塩衣与さんが死亡した日、今回再逮捕された渡辺優樹容疑者ら4人はそろってフィリピンの入管施設のVIPルームにいた。捜査関係者によると、山田李沙容疑者は調べに、指示役とされる3人が電話で何者かに「骨を折ってやれ」と命じる場面を目撃したと供述している。
大塩さんが実行役の男4人に自宅の地下で襲われたとされるのは、1月19日の昼ごろ。山田容疑者はこのころ、指示役らが「俺なら地下に大金を隠すと思う」と電話で話しているのを耳にしたとされる。
その後、指示役の1人が電話の相手に「骨を折ってやれ」と声を荒らげ、別の指示役が「死ぬかもしれないからやめろ」と制する場面もあったと説明。数時間後に狛江の事件がインターネットニュースで流れると、指示役の1人は「おばあさんが死ぬと思わなかった」と動揺を見せたという。
山田容疑者は「何の電話か分からなかった。ネットニュースを見て、狛江の事件のことだったんだと思った。私は一切関わっていない」と供述している。
事件の実行役らのスマートフォンには、「キム」「ミツハシ」を名乗る人物から「地下に金がある」「老人を殴れるか」とのメッセージが残されていた。捜査関係者によると、足立の事件でもミツハシだけでなくキムから実行役にメッセージが送られていた。
捜査幹部は「今回の逮捕を皮切りに、広域強盗の指示役解明を進めたい」と語った。（鈴鹿雄大）

東京新聞　2023年8月23日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/271891

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